壱色ノ匣:ヒトイロノハコ

モノガタリ綴り

【疲れたなあ】1

 

 頷いた、その顔を見ることができなかった。

 ぼくは、
 俯いたまま、背を向けたまま、
 ドアが閉まる音を、全身で聴いた。

 ドアが閉じる。それは、
   終わりの音。

 あれからぼくはずっと、
 世界から遮断されているような気持ちでいる。

 ずっと、


 ずぅっと、ぼくは、
 ぼくは見えない膜に包まれていて、
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・息ができないんだ。