壱色ノ匣:ヒトイロノハコ

モノガタリ綴り

〈暗転〉

 

 

  胸の奥で花が揺らめく。
 ―――【  】が尋ねる。心底不思議そうにぼくに問う。
  胸の奥で花が震える。
 ああ、こんなにもぼくの躰には花がみっしりと根を張っているのに。
 ああ、こんなにもぼくの心は果てしなく空虚なんだ。
 花たちはほろほろと花弁を散らす。それは涙のようにはらりはらりと足許に零れる。
  ―――【  】が尋ねる。心底不思議そうにぼくを眺める。
  もう、いいんだ。もう、終わらせたんだ。なのに、
 ――――――――――――なのに、―――――――――――――――どうして?


                                〈暗転〉