雑踏の中、―――そう、見知らぬひとたちが行き交う、その中に居る。ゆめ。そう、これはゆめ。ゆめのなかで、おれだけが立ち止まり、人の流れに眼を凝らす。
だけどどうして、
そんな風に立ち止まってしまうのかわからない。
けれど確かに、
なにかを探している。そんな気がする。ゆめを、―――夢をみているって知っている。わかっている。けれど。
それがなんなのかわからない。
なにを? ―――なにを?
おれは、・・・・・・ねぇ? 探している気がする。夢のなかで探しているずっと、
なにを? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・誰れを?
〈fragment〉
時折過る、音の欠片。
きんいろのひかりのなか、佇む華奢な背中。
胸が、くるしくなる。でも、
〈fragment〉
再生される旋律。
それをうたう、その声の主は、不意に振り向き、
泣きそうな顔をして笑った。
心臓が痛くなる。手を伸ばしたいのに動けない。
きんいろのひかり。あまりにもその姿が綺麗すぎて儚すぎて。動けないんだだ。
だけどこれが、
誰れの記憶なのか、あれは誰れなのか、
わからない。
〈fragment〉
震える背中、
ほろほろと落ちる雫。
さよなら。って、その声だけがやけに鮮明で、さよなら。って、その言葉がばらばらに砕けて散った。さよなら。の破片は、胸の奥に刺さったままだ。