腹の底から息を吐き出す。
躰ンなかに、なんかイヤなモンが混じっている気がするから。
だから俺は、下を向いて息を吐き出して、足で蹴って、それを散り散りにして。
それから上を向いた。
周囲を背の高い木に囲まれて空が丸くくり抜かれて見えた。まるで深い穴の中から、届かない空を見上げているみたいだ。
青色の中を、掠れた雲がゆっくりと流れていくのを眺めていたら少し呼吸が楽になった。
寄りかかっていたバイクから躰を離して、改めて周囲を見回す。静かだな。ここがほぼ都心だなんて嘘みたいな静けさだ。
しっかしこんなところよく見つけたよな。
苦笑しながら歩き出した。