壱色ノ匣:ヒトイロノハコ

モノガタリ綴り

[Y/1]

 


「その手を掴んだのも離さなかったのも俺なんだけど。憐れみでも怒りでもましてや愛情なんかじゃ無いんだよな。掴んだ手はもうとっくに癒着してしまって離れることが無いんだ。離すつもりも無いけどさ」
 いつだったっけ。俺、なんか酔っ払ってた。
 別に訊かれた訳じゃあないのに、なんか勝手にそんなこと語ってた。
 彩夜(さよ)のはなしだ。
 あいつは、「そっかぁ」なんて柔らかく眼を細めて頷いてた。


 


 
 
        あいつをみてると、くるしくなるんだよな。